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カナダのワーキング・ホリデー(ワーホリ)と移民制度の予備知識

カナダのワーキング・ホリデー(ワーホリ)と移民制度

ワーキング・ホリデーとは、仕事をすることで滞在資金を補いながら、海外生活を体験できる制度のことである。

このワーキング・ホリデー制度は、1980年にオーストラリアとの間で開始されたことに始まり、1985年にニュージーランド、1986年にカナダとの間で開始された。

その後、1999年4月から韓国、同年12月からフランス、2000年12月からドイツ、2001年4月からイギリス、2007年1月からアイルランド、同年10月からデンマーク、2009年6月から台湾、2010年1月から香港との間で開始された。さらに、最近では2013年2月からノルウェーとの間で開始。 

18歳から30歳の日本国民なら、日本とワーキング・ホリデー協定を結んだ国に1~2年の滞在許可が下り、その間に就学、旅行、就労をしながら生活することが許されている。

通常、観光中や就学中に就労が許可されていないため、現地で語学の勉強をしながら働いたり、働きながら旅行をしたりということが出来るのはワーキング・ホリデービザだけである。 

2008年にはバンクーバーオリンピックに向けて外国人労働者や移民が来やすいよう、次々と法改正がされたことに加え、日本・カナダ間の「ワーキング・ホリデー」の定員も倍増した。

バンクーバーはカナダ西部では最大の「都会」であり、ワーキング・ホリデーを利用する多数の日本人がバンクーバーを選んでいる。

人気の街バンクーバーについて

ロッキー山脈の西側に、太平洋沿いに広がるブリティッシュ・コロンビア(BC)州がある。

この南端寄りの、アメリカ合衆国との国境から近い位置にバンクーバーはあり、森林、鉱物、魚といった産業に加え、近年ではソフトウェア、バイオテクノロジー、映画などにも力を入れている。

更には、スキーリゾート地ウィスラーとともに、2010年冬期オリンピック・パラリンピックの開催地にもなった。

それに加えバンクーバーは、北米大陸の西側にあることから「アジアの玄関口」と呼ばれている。

太平洋を挟んでアジアに近いことからアジアからの渡航者を引き付けやすく、カナダ政府およびBC州政府はアジア経済の発展に注目し、BC州をアジアにとっての「北米大陸全体への玄関口」と位置付けた。

国際港・国際空港により、ビジネス・文化交流・観光・留学などを目的とした一時滞在者が、アジア各国からバンクーバーへと渡る。

バンクーバーは北海道旭川より北緯に位置しながらも、暖流のおかげで雨は降っても雪はほとんど降らず一年中温暖な気候を保ち、内陸部に比べ適度な湿度もある。

これらの理由からバンクーバーは、多数のアジア移民を引きつけ、彼らは、チャイニーズタウン、コリアンタウンなどの集落を作り、その民族にとって故郷を思わせる「住みやすい」場所となる。

バンクーバーに住む日本人

 

カナダの中でも、バンクーバーという都市は一時滞在者のための街あるともいえる。

ビジネスではトロントとモントリオールにゆずるバンクーバーにとっては、世界各国からの観光客と学生が落としていく資本は、重要な財源である。

移民たちがちが作る各国料理が楽しめ、さらに先住民の文化(トーテムポール)に手軽に触れることができるバンクーバーは、観光地としての要素を充分に持っている。

実際に、宿泊・飲食業の8%が観光がらみで、この割合はカナダの他の都市よりも高い。

そしてバンクーバーは、日本からカナダへのワーキング・ホリデー利用者の約半数(49.5%)が、「もっとも長く滞在した都市」として挙げる街でもある。 

日本からトロントへは飛行機の直行便もあるが、より近いバンクーバーを最終目的地または「とりあえずの入り口」とする人がいる。

さらに、「もっとも長く滞在した都市での滞在期間」は、カナダ渡航者の場合、平均11.5ヶ月で、ほぼワーキング・ホリデー期間いっぱいである。これは他のどの国に渡ったワーキング・ホリデー利用者の平均よりも長く、バンクーバーが日本人にとって住みやすい街であるということを示している。

実際に筆者が2014年8月にダウンタウンを歩いた時のことだが、街には観光用のオープンバスや2階建てバスか行き交い、ロブソン通りというメイン通りは歩くのも困難で、歩き出したと思えば、写真を撮るために突然立ち止まる人にぶつかることもあった。

さらに、語学学校の課外アクティビティなのか、集団で歩く学生グループからは、さまざまな訛りの英語が聞こえた。

そして、カフェや各国料理店、寿司屋には必ずと言っても良いほどの日本人労働者がいた。

2011年にカナダ移民局が発表したデータでは、バンクーバー在住で永住権を持つ日本人は34,085名、バンクーバーの人口全体の1.5%となっている。

そのうち、男性が14,755人、女性が19,330人である。ワーキング・ホリデービザの発給に関しても、2007年度渡航者の82%が女性である。

次回はこれらの予備知識を元に「ワーキングホリデーから移民事例と問題点」を書いていきたいと思います。

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