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カナダ・バンクーバーのカレッジに入学後、トロントの大学に編入

カナダ・バンクーバーのカレッジへ。現在は・・

カナダでは大学に通う生徒university studentsと、カレッジに通う生徒college studentsをまとめて指すのにpost-secondary studentsという単語を使います。

私は日本の大学に進学せずにそのままカナダに来ましたが、バンクーバーにある語学学校付きのカレッジで約2年過ごした後、トロントにある大学に編入し、現在もそちらに通っているので実質3年間、post-secondary studentとして生活していることになります。

日本の大学との大きな違いは?

日本の大学との大きな違いは?

一番大きな違いは学生の年齢層です。

日本で大学生というと大半は高校卒業したての人たちを指しますが、カナダの大学やカレッジではそうではありません。

高校を卒業してすぐに大学に行かず、ギャップイヤー(高校卒業から大学への入学、あるいは大学卒業から大学院への進学までの期間)を取って働いたり旅行をしたりしてから大学に進学する若者や、高校を出てしばらく働いた後に改めて大学に行く2-30代もいます。

また、第二の人生としてもう一度勉強しようと意気込む中高年、 カナダの大学の学士号をもらうと永住権を取りやすいので、そのためにもう一度大学に通うカナダ外出身の人など、様々な年代の人が集まる空間です。

なので17歳も28歳も50歳も同じ「大学一年生」として、一つの教室で勉強します。

カナダのカレッジにも大学にも日本のように入学試験がなく、希望の大学に高校(もしくは昔通った大学やカレッジ)の成績とTOEFL/IELTSの成績やボランティアなどの経験(オンタリオ州の場合、高校生は1年に約20時間ボランティアをすることが卒業条件の一つになっています)、特定の書類を提出し、審査の結果合否が決められます。

それに学校のセメスター(1年間の課程を2つの学期に分けて行う制度)は基本9月、1月、5月始まりでセメスターごとに教科を選択できるので、セメスターが始まる直前のオリエンテーションはあっても入学式はないまま授業が始まります。

カナダのカレッジは日本の短大と似ているのかもしれませんが、カレッジで2年勉強して卒業する人もいれば、私みたいに1-2年カレッジに通った後に大学に編入してそのまま4年制の大学を卒業する人もいます。

でもカレッジには何年いてもいいらしく、パートタイムの生徒として仕事や子育ての合間にカレッジに通う人もいます。

カレッジ・大学でよく使う用語

カレッジ・大学でよく使う用語

私は日本の大学に通ったことがないので、どういう仕組みになっているのかいまいちよくわかりませんが、カナダで履修や単位取得の仕組みを説明するとき以下の単語をよく使います。

・Requirements

自分の専攻の科目だけでなく、カレッジと大学では一般教養を取ることが必須になっています。

いわゆる卒業の最低条件といったところでしょうか。

・Required courses

文字どおり、卒業するのに取らないといけないクラスです。

・Electives

選択科目です。

卒業するにはRequirementsを満たすだけでなく、一定の単位credit(下記参照)を取る必要があります。

・Credits

一言で言えば単位なのですが、これが一番ピンとこないと思います。

カレッジでも大学でも、卒業に関わるのはクラスの数ではなく単位数です。

私の大学(トロントの4年制大学)のcourse creditsを例に挙げると、 クラスがhalf-year course、つまり1セメスター(4ヶ月)で終わるのだと3単位で、full-year course、つまり2セメスター(8ヶ月)にかけて教えられるのだと6単位になります。

卒業には最低120単位が必要なので、効率よく卒業するためにはRequirementsとして取らないといけないクラスの単位数をもとにelectivesのクラスを選ばないといけなくなります。

ちなみに私は大学編入時に、バンクーバーのカレッジで過ごした約1年半で取ったクラスの単位数のほとんどを移すことができました。

ただそれらは選択科目と一般教養として扱われたので、大学で取るクラスのほとんどはrequired coursesになってしまいました。

・Grades

成績です。

クラスによりますが、ほとんどのクラスではセメスター内の成績を%で換算、もしくはアルファベットletter gradeで表示して、最終成績はletter gradeとGPAで他のクラスの成績と一緒にまとめて表示させられます。

・GPA (grade point average)

全クラスの成績の平均…といったところでしょうか?

カレッジや大学を卒業するためにはGPAをC以上、つまり全クラスの成績の平均を65%以上をキープしていないといけません。

州や大学によって成績の表示方法は大分異なりますが、学校のホームページにはきちんとそこで使われている成績をGPAに換算してくれるページがあるのでそこまで困ったことはありません。

カレッジ – 基礎がしっかり築き上げられる

カレッジ – 基礎がしっかり築き上げられる

私のカレッジもそうだったのですが、カナダのカレッジには付属の語学学校がある場合が結構あります。

一般の語学学校とは違い、カレッジの語学学校ではノートの取り方やエッセイ、ペーパーの書き方、ディベートのやり方まで、大学の授業についていくのに必要不可欠なことも教えられます。

なので毎日のように課題に追われて大変でしたが、語学学校を卒業するまでには、カナダ人の生徒もいる普通の授業についていけるほどの英語力が付きます。

私自身カナダに行く前から英語力には自信があったのですが、あえて直接カレッジの授業を取らずに最初の8ヶ月を語学学校で過ごして本当に良かったと思います。

カレッジはというと、 一番大きなクラスでも全生徒が100人ほどでしたし、雰囲気に圧倒されることはそこまでありませんでした。

基本的にクラスのサイズが小さいのでクラス内で発言や質問がしやすく、仮に教授のoffice hour (授業外で教授と話したり質問したりできる時間)に行ったとしても教授が私の顔と名前を覚えている場合が多かったのでよく利用していました。

また、複数の先生が同じクラスを教えていた、つまりクラスのセクションが多かったのでとてもスケジュールが組みやすかったのを覚えています。

大学 – 学びたいことをとことん学べる

大学 – 学びたいことをとことん学べる

バンクーバーのカレッジの授業は基本的に週2回2時間、もしくは週4回1時間でしたが、大学のクラスは基本的に週に1回、3時間しかありません。

なので時間割によって月〜金で授業があるセメスターも週3しか授業がないセメスターもありえます。

カレッジと同じく3セメスターに分かれているとはいうものの、9月から4月までの8ヶ月みっちり勉強して、夏の4ヶ月は地元に帰ってフルタイムで仕事をしたり旅行に行ったりする生徒、夏の4ヶ月を研究に費やす教授も多いので、夏の大学は比較的閑散としています。

私の専攻している国際学や多くの学部の基礎レベルのクラスは講義lecture2時間とチュートリアルtutorial 1時間の2段構成になっています。

チュートリアルではクラスがいくつかのグループに分かれて教授、またはTA(teaching assistant: 修士号、または博士号を取得しようとしている大学院生がほとんど)と講義ではカバーしきれなかった内容や課されていたreadingなどについてディスカッションしたりプレゼンをしたりします。

チュートリアルがある場合、出席はそこで取られるので講義は出ずにチュートリアルには出席する生徒もよくいます。

大学3-4年生のレベルのクラスやセミナーになるとクラスも2-30人しかいなくなるので、授業のほとんどがディスカッションになるのも普通です。

Collège universitaire ?

Collège universitaire ?

実はカレッジcollegeには、小規模バージョンの大学と、一つの大学内で専門分野や学部の違いによって分けられた施設(フランス語でcollège universitaireと言います)という二種類の意味合いがあります。

私は大学に編入したとはいえ、その大学内のcollège universitaireに通っているので実質「大学」の良さを実感したとは言い切れませんが、同じ「カレッジ」でも大学にあるカレッジと普通のカレッジは全く違います。

そんなcollège universitaireの一番の良さはたくさんの人と知り合えるところです。

つまり、カレッジのように教授と生徒の距離が近いので気軽に話すこと、友達の友達が友達になることも頻繁にあります。

基本的にクラスの人数が少ないし、カレッジとは違ってrequired coursesを複数の先生が同時に教えるわけではないので、同じ専攻の生徒は取っているクラスが必ずかぶります。

元々知り合いではないとしても、さすがに同じクラスをいくつも取っていると顔を覚えてしまうので、そこから 友達の輪が広がることが結構あります。

私の学校ではrequired coursesの他にgen(eral) ed(ucation) (一般教養)とフランス語のクラスも取らないといけないので、そこからも友達の輪が広がります。

Gen edとフランス語のクラスのセッションは毎年たくさんありますが、それでも去年同じフランス語の授業を取っていたクラスメートと二人と今年もフランス語のクラスのクラスメートです。

海外での進学を考えてる人へ

カナダへの進学を考えてる人へ

大学、カレッジ進学のきっかけや手順は人それぞれです。

国や地域によって大学やカレッジのシステムは大きく変わりますが、日本では同じ「大学」も、カナダではカレッジ、大学とcollège universitaireの三つに分類されますし、もちろん日本のように専門学校もあります。

今回は、私が実際通ったカレッジと大学(collège universitaire)の経験をもとに、二つの特徴と良さを比べてみました。

カレッジに行く方が安全なのか、そのまま大学に進学してしまう方がいいのか?

気になる学校や場所がある場合は、実際に現地を訪問をして決めるのもありですし、日本でエージェントや大学のスタッフの方に会って話を聞くのもありです。

個人的にカレッジから大学へ編入した方が、大学卒業まで時間がかかってしまいますが、授業の受け方や課題の多さに対応できた上で大学の授業についていけるし、成績もある程度の高さをキープしやすいのでオススメです。

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Asuka S
物心ついた時の将来の夢は外人になる事で、その当時から日本語よりも英語に食いついていていたらしい。高校生の時スイスに一年間留学。卒業後は渡加し、現在はトロントにある大学で国際学を専攻中。日本語、英語、フランス語、ドイツ語とスペイン語を話し、写真、野球、食べ物などを愛する大学生。