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超高齢化社会のキーワードはおばあちゃん?

超高齢化社会のキーワードはおばあちゃん?

2006年からスイスに在住して、これまで、地域の異文化・異世代間交流、教育、ソシアル・ゲイミフィケーションなどのプロジェクトに関わってきましたが、今回はスイスでの高齢化社会を前にしたユニークな試みについて少しご紹介したいと思います。

今日、これまでの社会で経験したことがないほど多数の世代が同時に共存する時代になってきています。

これまでは、少数の高齢者がいても、それが多数派になったことはなかったですし、3世代以上の多数世代社会はこれまでなかったからです。

複数のアクターが受動的にではなく積極的に社会に参加していこうとする時、いろいろなことが起こります。 移民が多くなれば、移民問題。貧富の差が広がれば、格差問題。そして、大勢の世代が共存しようとすれば、世代間問題といったふうに。

そして、これまでの非高齢者が中心となっていた社会とはまったく違う、社会のしくみ、都市の在り方ができてくるという、未知数で新しい地平線に確実に日々むかっていっています。

そこでハードの整備も大変重要ですが、接点が乏しい単世代、あるいはせいぜい親子2世代が中心の生活の在り方が主流の今日において、近年、スイスで注目されているのが、それら複数の世代を結びつけるアクターとしての、「おばあちゃん」(女性高齢者)です。

ここでは、おばあちゃんたちが自分たちが培ってきた社会ネットワークを基礎に、いろいろな場所や人を繋いでいって、社会の連帯や一体化に寄与ことが期待されています。

高齢化社会が、ある意味社会の女性化も意味するとも解釈されていることからも、女性の役割が重視されています。

仕事や子育てを終えて、年金所得者年齢に達した新しい高齢者世代であるこの世代のスイス女性は、日本の同世代の女性に比べると政治意識も高く(女性運動や政治運動にはじめって関わった世代です)、日本と競り合う世界一の長寿、元気な女性たちです。

この中には、移民がこの30年代で顕著に増えて社会構造が根本的に変わったスイス社会において、既存の制度やボランティア精神を頼りにするだけでは、いまや機能不全になったり、綻びてきた様々な地域社会に精力的に関わっていこうという熱意がある方が多いように感じます。

ここ10年来、このような女性たちに注目し、さまざまな社会の場面で活躍することが出来るよう、奨励するプログラムを支援してきた生協のプロジェクトがあります。

その名も「おばあちゃん革命」!

なんだか勇ましいですね。

スイスの世代間交流

スイスの世代間交流

同様に、近年「世代間交流」という言葉もよく耳にします。

障害者や移民との融合をはかるインテグレーションに似て非なる「世代間交流」Intergeneration という造語です。

多数の世代居住を前提とした住宅や、都市計画、また15才以上年の離れた人を連れて博物館に入場した人には、入館料が無料となり、博物館訪問あとは、異なる世代が一同に集まり、お茶を飲みながら、展示についてどう思ったか世代を越えて議論するというイベントがスイス各地の博物館で開催されています。

特に高度成長したスイスや日本のような先進国では、それぞれの職場や家族、住んでいる場所などで仕切られる傾向が強いので、交流を促す窓口になる人のネットワークやきっかけが、とりわけ社会にとってとても大切になってくるでしょう。

新しい時代にあった、世代間交流の社会ネットワークがどのように作られていくべきか。

課題は大きいですが、世界の多くの地域や都市で共通して直面しているという強みがあります。

共通する課題や問題に、それぞれの取り組みや実績の情報を大いに交換・共有しながら、各国の地域や都市が、国境も越えて、今後、協力してゆける余地は、大いにあることでしょう。

そのためにも高齢化を抱える状況においてこそ、中にとじこまらず、海外の動向に目を向ける。

そして、自分たちの地域の実践や、実績を発信していく手段やメディアを充実させていく必要があるのではないかと思います。

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TOMOMI HOTAKA
2006年からスイス在住。学習院大学人文科学研究科博士後期課程修了、博士(史学)。元学術振興会特別研究員。 現在、地域の異文化・異世代間交流、教育、ソシアル・ゲイミフィケー ショ ンなどの分野で、ライター、リサー チャー、翻訳、通訳、語学指導員(ドイツ語・ 日本語)として従事。仕事とボラ ン ティアと二人の子育てを組み合わせたモジュール型ワーキングを実践中。