141 views

映画の舞台地を訪れる

映画の舞台地を訪れる

青い空、そして白く輝く砂浜の向こうには、青い海が続いていた。

その下で海水浴をしている人々はみな楽しそうであった。

そこはスペインの国境に近い、フランスのアルジュレスシュールメールという場所だ。

アルジュレスシュールメール

かつて、ここには収容所があった。

この海沿いの街はスペイン内戦当時、戦火から逃れようとして、国境を渡った人々が集められた所だ。

以前見たドキュメンタリー映画「メキシカンスーツケース」の中で出てきた。

その映画は、写真家のロバートキャパの写真がメキシコで発見されたという内容だ。

当時、スペイン内戦から逃れようと命からがら逃げてきた人々がやっと辿りついたフランス。

しかし、人々は受け入れてもらえず、砂浜に鉄条網を貼っただけの場所に集められ、食事も与えてもらえず、家もなく、人々は砂浜に穴を掘って寝ている。

映像の中でそんな辛い写真がたくさん出てきた。

映画の世界は、まさに灰色であった。

もちろん当時の写真が白黒であったから、色がないのは当たり前であるが、それだけではなく灰色の写真から、人々のなんとも言えないやり切れない気持ちが表れていた。

「だってそうだろう。」

争いが続いている故郷から、命からがら逃げ出し辿り着いた先で、受け入れて貰えず、食べ物もなく、寒い中、砂を掘って寝なければならない。

ひどい状況である。

この海岸で「メキシカンスーツケース」に出てきた戦時下の人々を想う

この海岸で「メキシカンスーツケース」に出てきた戦時下の人々を想う

そんな映画を見て来たこの海岸は、太陽がいっぱい、青い空と海があり、人も笑顔で溢れていた。

バックパッカーでヨーロッパを回っていた私は、小汚いヨレヨレのジーンズとスニーカーで一人海岸に佇んでいた。

この空と海を見ながら。

バカンスにきている人たちに比べて自分はとても浮いている。

そして、来たのはいいけれどいったい何がしたかったのか、と考えながら、ただ佇んでいた。

折角だから写真を撮ろうと考えるが、水着を着ている人々に向かって、むやみやたらと写真を撮ってもいけないなあと、青い空ばかり撮っていた。

本当に何をやっているのだと思いながらも嬉しくなった。

内戦当時、人々が寒さと飢えに震えながら過ごしたこの砂浜が今は、こんなに眩しい青がいっぱいで人々は皆楽しそうだ。

ここに来て分かったのは、こんな時代が来て良かったということだ。

越野昌子

The following two tabs change content below.
KOSHINO
39歳で仕事を辞め、だいたい三か月ほどバックパッカーでアジア、ヨーロッパを巡る。帰国後、再就職し、仕事のシフトを調節しながらアジアを旅している。