旅行雑誌の名前にもなった「じゃらん(歩く)」
「ジャランジャラン、ヤァ」
「散歩ですね」と、インドネシア人の使用人が、家の前の道を歩いている人に声をかけます。
「イヤァ、ジャランジャランサジャ」
「えぇ、散歩しているだけですよ」と声をかけられた相手が応えます。
陽がだいぶ傾いて、ちょっとしのぎやすくなったジャカルタの住宅地でのひとコマを傍で見ていて、むかし日本の街のあちこちにあった当たり前の光景を思い出しました。
「ジャラン」というのはインドネシア語で「歩く」という意味で、二つ単語をつなげると歩き続ける、ということから「散歩」の意味になります。
「ジャラン」そのものも歩くという意味のほかに、「道」や「(時の)経過」、「旅に出る」など多くの意味に派生し、日本の某旅行雑誌の名前になったりしています。
いつでもニコニコ。インドネシア人の社交的な性格
声を掛け合うだけではなく、インドネシア人は目を合せると「にこっ」と微笑みます。
インドネシアのお隣のタイが「微笑みの国」というキャッチフレーズで観光プロモーションをしていますが、両国を知っている人によれば、インドネシア人の「微笑み」もタイのそれに負けず劣らず、すばらしいと言っていました。
ある日本インドネシア合弁会社の日本人社長が、インドネシアからシンガポール経由で日本に帰った際、それぞれの国の人々の表情について、こんなことを言ってました。
「インドネシアの人たちはいつもにこにこ、シンガポールへ行くと人々は無表情になり、日本に帰るとみんな怒っている」
ちょっと誇張してはいますが、それほど左様にインドネシアの人たちは人なつっこく感じます。
まあ社交的な性格というのでしょうか、悪くいうと馴れ馴れしいということなってしまいます。
日本のテレビ番組が大人気
そんな性格のインドネシア人たちを更にニコニコさせていたものに、テレビアニメの「どらえもん」があります。
日本から持ってきたテレビアニメそのものを、日本の声優の声とそっくりの声をしたインドネシア人の声優がインドネシア語に吹き替えてテレビ放映しています。
インドネシアでも人気のキャラクターとなり、子供たちばかりでなく大人たちにもとても人気があって、みんな真剣にテレビを見て笑い転げていました。
「どらえもん」はテレビを通して、インドネシア人にごく自然に抵抗無く日本の日常生活に触れる機会を作っているので、日本の国の理解に大変役立っていました。
あの先進工業国で、インドネシアに多大な経済援助をしている日本の庶民が、自分たちとあまり変わらない大きさの家に住んでいて、決してアメリカ人のような贅沢な暮らしをしているわけではないのが、インドネシアの人たちに親近感を抱かせているようでした。
また、インドネシアでヒットしたテレビ番組といえばあの「おしん」を忘れることができません。
世界各国で人気が出たテレビドラマでしたが、インドネシアのテレビでも何度か再放送されていました。
インドネシアの人は普段から悲しい話を聞くと、いてもたってもいられなくなる性格であり、それを哀れむ傾向にあるので、「おしん」はかなりの同情と共感を呼んだようです。
ついには日本食の店の名前にまで「おしん」が使われるようになりました。
このような人気の日本製テレビ番組は、たいていインドネシアに進出している某日系食品メーカーがスポンサーになっていて、うまい具合に自社の商品をPRしていました。
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