ドイツの路上に気になるものがある
ドイツの街を歩いてると、よく遭遇するのがこの本棚。
家の中で見れば何の違和感もないのに、外にあるだけで異彩を放つ存在に。
というか、なにゆえ外にポツンと置かれているのか?
じつはこれ、誰でも自由に持ち帰って読んでいいという、まさに”街の本棚”なのだ。
この本棚、正確には、”Offener Bücherschrank”と呼ばれるもので、無料で誰でもいつでも利用できる公共の本棚。
ドイツ各地を始め近隣諸国にも置かれており、市や非営利団体などの運営で、企業などがスポンサーとなっている。
気軽に文学に触れられるツールとして90年代に登場。
フランクフルトでは、2009年11月に最初の本棚が設置された。
建築家によるアーティスティックな本棚は各地で異なるので、どこでどんな本棚に出会えるかという楽しみもある。
街の本棚。ひとまず観察してみた
今までその存在は意識していながら利用したことはなかったのだが、急に気になったので、ひとまず観察してみることにした。
誰か利用してる人はいるのか?
本のラインナップは変わっているのか?
とりあえず下2段分だけチェックしてみよう。
●1日目
立てかけるだけでは収まらず横置きにもされ、ぎっしり。
はい、どうぞ!と言わんばかりだけど、誰か持っていく人はいるのだろうか?
●2日目
横置きにされてた本がなくなってる!!
誰か持っていったんだ~。
しかも上の段から下の段に移動している本もあり、物色された形跡もアリアリ。
●3日目
おっ! さらに少なくなってる~。
そして新しい本が追加されてる!
”街の本棚”、本屋さんの近くに置かれてることが多いので、本屋さんが管理しているのだろうか?
●4日目
ついに下段まるまる本がなくなっていた!
上段もスカスカ具合が増してきたー。
中途半端だが、本の出入りがあることがわかったので観察終了。
誰も利用してないんだろうくらいに思っていたので、1日でだいぶ変化があったことに驚き。
本棚をよくよく見たら、ジャンル分けされて並んでいるようで、それにもびっくり。
本棚を利用してみた
こうなったら私も利用するしかない!
いきなり大人向けの本は厳しいので、挿絵がいっぱい入って易しそうな子供向けの本を持ってきてみた。
毎日読んでいるが、案外わからない単語が多く、読むペースがめちゃくちゃ遅い。
”街の本棚”には、まだ読んでない本がわんさか待っているというのに、全然読み終わらないわー。
なんて、本棚を横目に毎日通り過ぎていたのだが、結構本を補充(というか寄付)してる場面を目にするようになった。
ある日などは、おじさんが本を収納していたが入りきらなかったようで、たまたま子連れの私が通ったものだから「この絵本、持って行きなさい」と手渡しされてしまった。
状態が良く、子供も好きそうな本だったので、喜んでもらったけど、すっごい直接的で笑ってしまった。
そんな中、自分も本を寄付することを思いついた。
日本語の本を置いたら、誰か持っていくのだろうか?
それともずっと残ったままなのか??
絵本なら言葉がわからなくても手に取るだろうと、子供がもう見なくなった絵本を2冊チョイス。
早速本棚に入れてみた。
朝9時頃に入れて、夕方4時頃ふと通り際に見たら、なんと、もう無くなっていた‼︎
漢字タトゥーはじめ日本に関心のある人は多いので、遅かれ早かれ無くなるだろうとは思っていたが、こんなに早く無くなるとは思わなかった。
読書を愛するドイツの人々
こうして本棚に着目しているうちにわかったこと。
それは、本を読むことが日常の一つになっているのだということ。
本棚の扉を開いて、じっくり本を吟味していたり、電車やバスの停留所などで分厚い本を読んでいたり、バカンスには何冊も本を持参したり。。。
ケータイやタブレットなどで気軽に文章を読める時代だけれど、本の手触り、ページをめくる感覚、そういったものを大事にする人が多いのかもしれない。
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