ドイツのアウグスブルグと言えば、フッガーライ
ドイツのアウグスブルグと言えばフッガー家、フッガーと言えばフッガーライ。
1515年から5年かけて建てられた低所得者のための集合住宅。
当時ヨーロッパ一の大富豪ヤコブ・フッガーが貧しい人を助けるのはもちろんのこと、困った人々を救うことで自分も救われるという信念のもとにこの施設を建設した。
さて、このフッガーライ、今も現役。
当時の家賃1グルデン(約0.88ユーロ)で提供されている。
光熱費は住人の負担。そのほか維持費や管理費など現在もフッガー財団によって賄われている。
もちろん入居したい人はたくさんいて、かなり長いウェイティングリストになっているそうだ。
・アウグスブルグ市民であること
・カトリック教徒であること
・生活に困っていること
・フッガーライにある教会で毎日ヤコブ・フッガーのためにお祈りすること。
入るには上記のような条件を満たす必要がある。
貧しい人々のための建物だからと決して手を抜いておらず、美しい破風を取り付けるなど美観にも気を使っている。
世界最古の社会福祉施設の現在
入り口を入ってすぐ左のマルクス教会の破風に書かれているヤコブ・フッガーの教訓。
Nutze die Zeit!時間を有効に使え!
さすが、ヨーロッパの歴史を動かすほどの莫大な財を築いた富豪の言葉だけあって、気持ちが引き締まる。
フッガー家はこのフッガーライをはじめ、教会や城や森など9つの財団を持っているのだ!
この教会の横に事務所があって、ここで長老会議を行いフッガーライの経営や入居者選びなどについて話し合われる。
入居条件の1つに、1日に3度フッガー家に祈りをささげるというのがある。
コントロールをするわけにもいかないので、ここに来る入居者もいれば自分の心の中で… という方も。
フッガーライは第2次堺大戦で半分ほどが壊されてしまったが、それにしても社会福祉施設とは思えない広さと作り。
500年前の福祉施設が現在でもそのまま機能している。
銀行家であり、商人であった富豪ヤコブ・フッガーの考えがいかに先を行っていたか・・・。
貧しい人たちへのほどこしではなく、自立を支援するという前向きな姿勢。
17C~18Cには子供が250人もいた時期もある。
壁にぐるっと囲まれたフッガーライの中には教会、学校、病院があって、さながら町の中にある小さな町のようだった
ちなみに、現在140軒あるお部屋には150人の方が住んでいる。
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