4,022 views

メキシコでの働き方と就職活動時の企業選び

メキシコでの働き方と企業選び

皆さんこんにちは。

日々、海外の日系企業で現地採用として働いていて思うことはいろいろあるのですが、今回は実際の働き方とそれに関わる企業選びについてお話ししたいと思います。

私が現在働いているのは、自動車パーツを製造するいわゆる製造業で、そこでの私の仕事はというと、事務職全般です。

一人部署で、仕事はなんとも多岐にわたります。

一応、ポジション的には製造トップの日本人のアシスタントという形ですが、実際には多くの日本人とメキシコ人の何でも屋です。

職場で使う日本語:スペイン語の割合は、最近は話すのが7:3、書くのが2:8くらいです。

以前いた部署などでは、会議などで話すのが多かったので、3:7くらいでした。

また、時期によって異なりますが、仕事を抱えていなければ定時で帰れることもありますし、逆に毎晩3〜4時間の残業が続くこともあります。

関連企業や取引先の日本人だけでなく、メキシコ人からは、通訳だったり、総務人事(庶務)だったり、書類翻訳者だったり、工場内の日本人のお世話係だったり、この人何やってるんだろうと思われているみたいです。

最近は冗談で「部署:ニイナ部、肩書き:昼はみんなのお手伝い係、夜は翻訳者」と答えるようになりました(笑)

毎日大変な仕事ですが、私はこのポジションを選んで働いています。

なぜなら専門職である翻訳・通訳と言えるほど私はスペイン語は堪能ではないし、かといって製造や機械技術などの専門的な知識も経験もない私が持っている武器は、日本人力しかないからです。

幸い、日本の不動産会社で営業事務として働いていた時も(あまり大きな会社ではなかったので)、「これ私の仕事ですか?」と言いつつも営業たちのお尻を叩いたりお客様と接しながら社内外全体と絡む仕事だったし、若い時に自営業で輸入販売業の立ち上げやもちろん営業などをやったので、場所が変わっただけでやることは似ている経験があることと、図々しい性分も相まって、あまりどの仕事も初めてだからドッキドキと思わずに済んでいます。

とはいえ、やっぱり就職活動の際には職種・給料・ビザ含む福利厚生などの条件で会社を選びました。

通訳で頂いたお話は、面接のオファー前に全て辞退させていただきましたし、営業は自分力(私という人間だから買ってくれる)を磨くのに四六時中働いている感覚でどうも苦手なので遠ざけていました。

日本の母体会社を見る

日本の母体会社を見る

メキシコでの二回目の就職となる昨夏の転職の際は、日本の母体会社のレベルと残業の有無も加味しました。

もともと、あまり会社のネームバリューなどは気にしていなかったのですが、これを付け加えたのには理由があります。

メキシコ一社目の会社で知ったのは、メキシコの現地法人と言えども日本人と多く関わるということ。

上司は日本からの駐在、支援で出張に来る方やお客様も取引先も日系企業ということが多いので、自然とそうなります。

日本からの駐在というのは、その人の技術や能力を会社が必要としている方と、厳しい言い方ですが、会社の事情などによりもう日本に帰る場所はない方と2パターンいらっしゃいます。

ほとんどの方が前者ですが、後者のパターンも会社の少なからずいらっしゃって、これはメキシコに限らず世界中の日系企業であると聞きます。

ただ、メキシコの場合あまり行きたがる人が少ないので、そういった後者の方々の割合が高いとも・・・。

日本の母体がしっかりしている会社だと後者のパターンで上司、はたまた会社のお偉いさんと言われる方が長く居座ることが少ないんですね。

もしくはそうであってもその方々を多方面からフォローする要員がちゃんと揃うわけです。

これは海外で働く上で、私にとってはけっこう重要なことでした。

だって、当たり前ですが上司は選べませんから。

一日に何時間も働く場所のこと、上司との関係性は日本でも仕事の楽しさや充実度に関わる大事なことですよね。

それに日本だったら、会社を出たら他に楽しみがあるので会社を切り離せるのですが、ぼっちなメキシコだとそうもいかず、就業時間外に職場の人と関わることも多いのです。

また、これも日本と同じですが、いくら面接をしてもその会社で働く人の雰囲気はその会社に入ってみるまでわかりません。

いくら給料が高かったり、人数が多い会社でも、サービス残業が当たり前の企業体質や顧客からのクレームが多発しているような会社は、社内の人達に余裕や自信がなくなって雰囲気が悪くなるし、日本の母体の雰囲気は上司がそこからきていて日本をお手本としている以上、同じような雰囲気になると思うのです。

ですので、私はオファーを頂いて職種や給料などの条件で絞って面接の段取りをした会社については、メキシコの会社の状況よりも、日本の母体の会社の経営状況・・・は私は詳しく調べる術を持っていなかったので、日本の方のホームページなどで商品や会社案内はもちろんですが、新卒採用のページを見たりして、働きやすさなどを探っていきました。

残業の有無

残業の有無

それと、残業の有無についてです。

もともと私は残業反対派の割に、これも必要なことなのかと思ってサービス残業をしているタイプだったのですが、海外の日系企業ではノー残業、残業するなら残業代の出る条件、を絶対的にオススメします。

そう思った理由は、「現地採用の仕事は誰も評価できないから時間労働の対価が必要だ」と思ったからです。

まず、私は翻訳者・通訳者ではないのですが、それを仕事の一部としてやっています。

翻訳は書類を読み込んで訳すので時間がかかる。

通訳をやっている間は他の仕事はできない。

と、いうわけでこなすのに時間がかかる仕事なので、自分で何かを生み出すわけではないけど頭を使う時間労働だと思っています。

通訳の専門職の方は、内容の精度が高くても低くても自分の意見は挟めないので、さらに企業からは時間労働的に思われているのではないでしょうか。

問題はその中身で、私が中身をどれだけの精度で訳しているか、スペイン語がわからない上司は誰もわかんないじゃんっていう話です。

いや、通訳でしどろもどろになっているのとか、訳した書類がメキシコ人からわからないと苦情が来ればわかるのですが。

果たして直訳してメキシコ人に理解できるのか、はたまたこういう言い方の方が言葉は違うけどメキシコ人は理解できるよね、とか「わかりやすさ」の為を念頭に置いた仕事の精度は、両方の言葉がわかる上司が確認しないと、評価のしようがありません。

日本人力

日本人力

そして他の事務作業も日本人のやり方をメキシコ人相手に理解して仕事をさせるために、やはりスペイン語を使うだけでなくいろいろ根回しが必要です。

例えば口頭で依頼する前に文書でわかりやすく資料を作り、それを見てない、覚えていないというのでメールで送った後に、到着の確認のメールと電話、そして直接顔を見て話して依頼、翌日にはもう忘れているのでフォローアップ、など一つの依頼に5、6倍手間がかかることが当たり前です。

こういった手間がかかることも、メキシコや海外で長く働いたことがない上司はわかりません。

だからと言って、わかって、というつもりもありません。

そういった面倒臭さを上司から引き取ってやることが、私だったり多くの現地採用の日本人に求められる日本人力としての仕事なのですから。

以上のことから、仕事の結果での評価が難しいのです。

会社で働く以上、上からの評価がなければどうやって給料決めるの、ということになります。

「評価はできない、いろいろ頑張ってくれているのはわかるけど。」だと、単純に時間がかかってサービス残業しているうちに、絶対不満が出てきて長くは続かないと思うのです。

翻訳・通訳者になりたくて勉強だと思うからいい、という考えの人は別ですが。

なので定時をオーバーした部分にだけでも、給料という形で払われた方が、「やり終える」ことに意欲がわくと思い、私は条件に入れました。

そうやって調べた会社との実際の面接に臨む話はまた次回に。

The following two tabs change content below.
NIINA
2014年9月に始めた、お金、コネ、専門技術、語学力、彼氏、全て無し! の海外転職活動を終え、現在はメキシコのグアナフアト州にある日系の製造業の会社で働いています。 メキシコで働く中で日々思うことや地元情報をつづったリアルタイムのブログはこちら→ニイナさんの海外転職レポ