日本人が海外で聞かれる質問について
海外で生活していると、日本のことについてよく聞かれます。
特にトロントなどの世界中から人が集まる場所では、自己紹介や交流の一環として自分の出身地や文化について頻繁に話すこと、聞くことになるでしょう。
でも何について聞かれるの?初めて海外に渡られる方は特にそう思うと思います。
お寿司は毎日食べるの?とか、やっぱりアニメは見るの?とかいうありがちな質問だけじゃなく、Baby metalっていいよねなど、えっ何それ?聞いたことない…と言ってしまいそうなことも聞かれる時もあります。
説明は簡単で良い。
本題に入る前に心に留めて置いて欲しいことがあります。
・ 頑張って説明しようとするよりはむしろ簡単な単語などを使って伝える。何も知らない子どもに教えるようにすると結構上手くいきます。
・いまいちピンとこない事を聞かれた時や説明が合っているかわからない時は、とりあえず調べてみる。
・ 画像に頼る。特に食べ物の場合は、言葉よりも画像の方が説明しやすいです。
・現地の人は日本についてあまり知らないだろうと思わない。恥ずかしながら、私よりも日本についてよく知っている友達に、今まで何人も出会いました。
※ちなみに、これから先「現地の人」という言葉を使いますが、それは個人的に「外国人」や「海外の人」という表現はあまり好きではないからなのでご理解ください。
じゃあ日本のこと、どうやって説明したらいいの?
私が普段心がけている話し方を紹介します。
◯「納豆」を説明する
例えば、納豆について聞かれたとしましょう。
ウィキペディアの最初の文章には「納豆は、大豆を納豆菌によって発酵させた日本の発酵食品」と書いてあります。
他にも産地や栄養素などたくさんのことが書かれていますが、これをWikipediaの他の言語のページに頼らずに英語や他の言語に訳して説明するのは…ちょっときびしいですね。
発酵や菌って何て言うんだろう?ネバネバ感ってどうやったら伝わるんだろう?どう説明すればいいでしょうか?
私なら、
「納豆は大豆から作られている(原料)で、ヨーグルトが牛乳から出来ているのと同じ感じで作られている(発酵するのを伝えるために出した例)。
黄土色で匂いが強くてくっつきやすい(五感を使っての説明)。
朝食でご飯と一緒に食べるのが普通(事実)。
日本の国民的な食べ物で、とても健康にいい(事実)。
好きな人は多いけど私は嫌い。匂いと味が好きじゃない。(個人的な好み)。」
という風に、納豆について私が知っている事、つまり括弧でくくったことを短い文章で区切りながら説明します。
これはあくまでも一例ですが、先に挙げたルールをどう守るか、何となくピンと来たのではないでしょうか?
ここからは本題です。私が今までによく話した、聞かれたテーマを紹介していきます。
自分の出身地。その大まかな位置
東京の場合は東京でも伝わりますが、それ以外の場合は地名と日本のどの辺りにあるのかを方角で伝えるようにしましょう。
例えば私の出身地である大阪は、東京より西に、日本の西にある大きな街、京都が隣にあるという風に伝えます。
◯出身地で有名なもの、それが何か、なんで有名かなど
これも大切です。写真とともに出身地の名物を紹介しましょう!
日本は島国ですが、47都道府県すべてが同じわけではないので。
政治について
日本では政治のことをあまり話さない、もしくは政治にあまり興味がないなんて良くある話かもしれませんが、現地ではそれはまずありえません。
学校の授業中や日々の会話の中で突然政治の話をするなんて日常茶飯事で、テレビ番組に政治家が普通に出てくることも、徹子の部屋みたいなトーク番組で政治について辛口コメントや批判をすることも普通です。
そのおかげか、政治に関心のある若者もたくさんいます。
例えば去年カナダでは、通常より長い二ヶ月半という史上最長期間で選挙が行われたのですが、それまで10年間首相だったStephen Harperに代わり、43歳のJustin Trudeauがカナダの首相になりました。
その時のTrudeau率いる自由党の勝利の原因の一つが、18歳から20代の若者の投票率がかなり上がったことだと言われています。
Facebook、twitterなどのsocial mediaを上手く幅広く使うことによって、より多くの若者に政治に目を向けさせたことが、投票率が上がったことに繋がりました。
日本の政治に関すること、特に安倍政権や物議を醸し出すような法律、について聞かれ、「知らない」というのは何よりも恥ずかしいし情けないことです。
どこにいても日本で起こっていることには常に目を通しておいてください。
ちなみに日本のメディアよりも海外のメディアの方が日本について詳しく報道している場合があります。
宗教について
神社?寺?神道?仏教?
日本の人は無宗教だと良く言いますが、なかなか理解されません。
私は日本人が無宗教だと強調する理由は、神道の影響が大きいからと思います。
日本には八百万の神(やおよろずのかみ)がいるというように、七福神をはじめ何人もの「神様」が各地の神社に祀られていて、その「神様の御利益」を得るためにいくつもの神社を訪れます。
そのため、キリスト教のように「一人の神様」(イエスキリスト)を信じることが難しいからじゃないかと考えています。
それに、日本人はいろんな文化や風習などを混ぜて、オリジナルのものを作り上げる傾向があります。
なので、私たちの知っている神道や仏教の知識がまぜこぜになってしまいがちです。
長くなるので省略しますが、仏教と神道、寺と神社の違いをもっと詳しく知りたい方は以下のURLを参考にしてください。
それにしてもクリスマスにケンタッキーフライドチキンを食べるなんて一体誰が思いついて、いつから習慣になったのでしょうか…?
お寿司
現地で出会う人のほとんどは日本食=お寿司と思っているかもしれません。本当です。
最近はラーメンも人気で知名度も上がっていますが…
お寿司を説明するときは、「お祝い事がある時にしか食べない。特別な料理。美味しいお寿司は簡単には握れない。」などのフレーズが適当でしょう。
私は日本でいうお寿司は、現地でめったに食べないけど有名な料理(北米ではthanksgivingに食べるターキー、スイスではチーズホンデュ)みたいなものとよく言います。
また「日本人は和食、もしくは寿司かラーメンしか食べないのか」と思われているケースもあります。
そんなことはないですよね。和菓子だけじゃなくてケーキも食べますよね。
それと同時に、日本でいう洋食は海外にあるとは限らないことを忘れないでください。
オムライスはオムレツにご飯を包んだ日本の創作料理です。
デミグラスソースもありません。天津飯は中国にはないそうです。
1日3食なにをよく食べるか、好きな料理は何か、簡単に説明するだけじゃなくて実際に作ってみてもいいかもしれません。
家で作れる料理のレシピはあらかじめ覚えておくといいでしょう。
肉じゃがなど、ほとんどの材料を現地で調達できる料理は比較的作りやすいのでお勧めします。
私はスイスに留学中、お好み焼きを2回作ったのですが、味の素、お好みソースとお好み焼きのもと(山芋の粉だったはずです)だけは日本から送ってもらい、残りの材料は現地で調達しました。
薄切りの豚バラ肉の代わりにベーコンを使ったのですが、そこまで味に支障は出ませんでした。
お箸の使い方
日本食を振舞ったり食べに行ったりするときに大事になっていきます。
日本食のレストランは世界中に結構あるので、お箸を使うのに慣れている現地の人はもちろんたくさんいます。
ここで私がいつも使うお箸の使い方の説明をお教えします。
文章にするとわかりにくくて申し訳ないですが、実際に試してみたらわかりやすいと思います。
「まずは箸一本をペンのようにもつ(親指と人差し指で箸を包むようにもち、中指を添える)。
箸を短く持つと食べにくいので、箸の上の方で同じように持ってみる。
そしてもう一本の箸を薬指と中指の間にねじ込むように入れる。
人差し指と中指を使って、上の方の箸を上下に動かしてみる。
この時下の箸と薬指は動かさない。二本の箸の高さを揃えるために、少し腕をひねって机にまっすぐ箸を立ててみる。 」
アニメ、漫画、ゲーム
ひと昔前は忍者や侍がまだいるのかとよく聞かれたかもしれませんが、今一番多い質問はやはりアニメに関してです。
カナダで知り合った私の友達の多くは日本語の勉強をしていて、実際に話すことも出来るのですが、日本語を勉強するきっかけはアニメだったと言った友達は結構多くいます。
学校などできちんと日本語を勉強している人もいれば、ただアニメ好きもいます。
あまり日本人の知り合いがいない現地の人は、私も含めたアニメにも漫画にも興味のない日本人がいる事に結構驚くようですが、そこは気にせずにいましょう。
ちなみに私は「カナダでもホッケーが嫌いな人もいるでしょう」とよく言っています。
また、アニメでよく舞台設定として使われているからか、日本の四季や高校の制服の事についてもよく聞かれます。
ゲームに関しては経験上、全く分からなくても生きていけます。
マリオのゲームのキャラクターや任天堂のゲームについて薄々知っているだけでも大丈夫です。
映画
世代関係なしにジブリはよく知られています。
しかし、中年以上の方は日本人を見ると、黒澤明監督の映画や去年亡くなった原節子さんの出演された東京物語など、古い映画がきっかけで日本に興味を持ったんだと話しかけてこられる時があります。
なので、ある程度海外で有名な日本映画は一通り見ておきましょう。
芸者(芸妓)さん
The memoirs of a geishaという映画になった小説の影響か(日本ではSayuriという名前で公開されました)、意外に芸者さんについて聞かれます。
芸者(芸妓)さんと半玉(舞妓)さんの違いや、芸者さんが何をするかなど、基本的な知識は身につけておきましょう。
人によっては芸者さん=高級な売春婦、貧しすぎて親に捨てられた子達と思っている人もいるので、何を言われてもいいように覚悟はしておいてください。
歴史
大まかな歴史の流れや有名な歴史的人物、終戦記念日などの重要な日付は覚えておきましょう。
やっぱりなと思うかもしれませんが、忍者や侍について聞かれます。
満州事変から太平洋戦争までの歴史も聞かれます。
私も未だに「真実」を勉強している最中ですが、日本で教わったことや映画にもなった出来事が満州事変からの15年間の歴史の全てではないことは忘れないでください。
日本語の意味を聞かれた時
最後になりますが、日本語の単語や熟語の意味を聞かれた時、辞書にある意味そのものを教えるよりも、例文などを使ってこんな時に使うよと教えてみてください 。
例えば「興味」と「関心」の違いって何?と聞かれたとしましょう。
映画に「興味」がある人は、多分映画を見ることだけじゃなくてお気に入りの監督、作品やジャンルをすでに特定していると思います。
逆に映画に「関心」がある人は、ある監督の撮影方法や特殊効果の使い方など、専門的な知識も知った上で映画を楽しんでいると思います。
日本語は擬音語、擬態語、敬語など、 他の言語では文字通りに訳せないニュアンスを多く持つ言語だと思うので、人によって一つ一つの単語や文の解釈は異なります。
直訳が難しい言語だからこそ、日本語は辞書の意味よりも例文を使ったほうが教えやすいです。
正しい日本文化を教えてあげよう
はじめはびっくりするかもしれませんが、現地で映画やアニメ、インターネットのみを通して日本文化を学んだ人は、結構日本の文化のことを誤解している場合があります。
日本では(敢えて多くは語りませんが深夜番組でしかやらないような)下衆い企画などをテレビでよくやるとか、 カリフォルニアロールは食べるものだとか、日本の女の子はオシャレすぎて中川翔子さんみたいにセミの抜け殻で髪飾りを作るとか思っているなんてことは珍しくありません。
日本でも外国人=アメリカ人もしくは英語話者と思う人が結構いるように、現地の人の多くも日本の文化=遠く離れた場所の不思議だけどCOOLな文化だと思っています。
せっかくのチャンスですから、「正しい日本文化」を知った上で日本の良さを広めていってみてはいかがでしょうか。
PS: 下に載せてあるブログには他にも様々な日本文化が説明されているので是非チェックしてみてください。
「日本文化研究ブログ – Japan Culture Lab」
- 留学前の準備から飛行機に乗るまで - 2017年2月19日
- カナダ留学の持ち物リスト - 2017年1月23日
- グアテマラのマーケットとマヤ文化 - 2016年10月18日
- 観光都市アンティグアの魅力 - 2016年8月10日