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バンクーバーのスターバックスで働いて感じたこと

バンクーバーのスターバックスで働いて感じたこと

今年の1月からダウンタウンのスターバックスで働き始め、もうすぐ5か月が過ぎようとしています。

お客さんは基本的に観光客やビジネスマン、留学生など幅広い客層が来店し、まれに日本語を使って接客することもありますが、基本的に英語でのやり取りです。

同僚は日本人もいますが、韓国人、ベトナム人、フィリピン人、カナディアン、リトアニア人など国際色が豊かで英語でのコミュニケーションです。働き始めてからの英語力の伸びは自分でも感じるところが大きいので、実際に現場で使ってみて伸びるって本当なんだなと感じています。

私の場合、去年の11月にワーホリでバンクーバーに来る前、3月末に前職を辞めてから4月から約半年、日本のスターバックスでも働いていました。もしかしたら、あわよくば、上手くいけば、この経歴がバンクーバーに行った時に何かの役に立つかもしれないと感じたからです。そして、それは予想通り現地で仕事を見つける際にとても役に立ちました。

今のスターバックスで働き始めるまでの経緯

今のスターバックスで働き始めるまでの経緯

ちなみに最初からスタバで働いていたわけではありません。ワーホリに来て一発目は小さなカフェで採用されました。そこで採用されたのも、履歴書に日本のスタバで働いていた経歴があったからでした。

日本の企業でもスタバで働いていたという経歴はアドバンテージになることがあるそうですが、スタバというブランドネームはやはり世界共通なようで、そこの店長にも「スタバで働いていたんだったら、ある程度の接客はできるね」と働く前からある程度認められていた部分はありました。

初日に入った時にコーヒー豆の種類を教えてもらったり、レシピを聞いたりする中で「あ、これ日本のスタバにもあった豆の種類だ」とか、ラテとモカの違いぐらいは分かったのでやはりスタバで働いた経験があったのはよかったなと思いました。

残念ながら諸事情によってそこのカフェは2日で辞めました。そこで思い知ったのは、想像以上に英語環境で働くことの難しさです。バンクーバーに来て1ケ月で、英語もまだまだ慣れず、日本のように丁寧にトレーニングしてくれるわけでもなく、2日目からは一人でレジに立たされるなんていう職場環境は、思った以上に精神的にきつい部分がありました。

ここに来て半年経つ今の私ならもしかしたら慣れて耐えられる部分もあったかもしれませんが「自分は何もできない」という劣等感を強く感じる出来事でした。

その後は、精神的にも物理的にもなかなか仕事探しがはかどりませんでした。

なにせ、12月中旬ごろからバンクーバーはホリデー休暇になってほとんどのマネージャーが休暇を取り始めて、なかなか採用の動きが進まない。という状況になったからです。レジュメを出して感触よく「後で連絡するわねー」なんて言われて期待してスマホを睨みつけていても、一向に連絡がくる気配はなく、ただただレジュメを配り続ける毎日が続きました。

そんな時にたまたま参加したミートアップで、たまたま仕事探しの話になり、日本のスタバで働いていて、今仕事を探している。と話したところ、カナディアンの人から「スタバの店長と知り合いで、今募集してるって言っていたからレジュメ出してみたら?」と言われたのが全ての始まりのきっかけでした。

正直、私の中でカナダのスタバで働くことはかなり高いハードルに感じていましたし、基本的にこちらのスタバも日本と同様にオンラインからの申し込みしかできず、ワーホリの人たちがみんな通るであろう「レジュメを落とす」という店頭で直接マネージャーに履歴書を提出するというスタンスはとっていないので、大丈夫かと初めは不安に感じました。

ついに面接へ

いざレジュメを出しに行ってみると、感じのいいコリアンの店長が快く受け取ってくれて、すぐにインタビュー(面接)の日程が決まりました。その時に簡単な質問をいくつかされました。

・パートタイムかフルタイムか
・いつまで働けるのか(ビザの期限)
・どんな経験があるのか

ここでも、日本のスタバで働いていた経歴は目に留まり「おおー!日本でもスタバで働いてたんだったら大丈夫だねー」と言われて「お?これはもう採用か?」と気持ちが舞い上がりましたが、その後、きちんと面接の日程を言われたので軽くショック。というか、ああ。やっぱり。と冷静になりましたが…

面接の際には、なぜここを応募したのか、という定番の質問だけではなく、日本のスタバでもそうでしたが、少しひねった質問をいくつかされました。

・自分の強みと弱みはなんだと思うか
・それらを活かしてどんな成果を上げてきたか。どんなことにチャレンジしたか
・チームプレーと個人プレーどちらが向いているか
・自分の英語力についてどう思うか、どう向上させていこうと思っているか
・日本のスターバックスで得た経験や学んだことは何か

などを聞かれ大体15分程度で面接は終わり、後日改めて採用かどうかは連絡すると言われました。個人的には、かなり感触は良かったかなという印象でしたが、中にはその場で採用が決まる人もいる。という話を聞いていた私は「後日連絡」という言葉に一抹の不安を感じていました。

結局、無事にその後連絡が来て、採用が決まって働けることになった時は本当に嬉しかったです。

採用後のトレーニング

採用が決まって、基本的に最初の数回は店長と一緒に研修をするのですが、私の場合は日本での経験があるからと省略。

トレーニング初日でラテを作っていました。でも、この頃になると、その場の土壇場力でなんとかする技術やメンタルも備わりつつあったので、おびえることなく仕事をすることができました。何より同僚にも恵まれ、分からないことは聞くとかなり事細かに教えてくれたり、いつも「Are you okay?」とサポートしてくれたりとトレーニーでも居心地よく働ける環境でした。

働き始めて感じたこと

働き始めて感じたこと

最初の頃はやはり日本と違うレシピやメニューの多さに混乱したり、個々のオーダーの鬼のようなカスタマイズに困惑したりと、慣れるのには時間がかかりました。

「ミディアムバニララテ、シュガーフリーバニラシロップ、ハーフシロップ、アーモンドミルク、%&#“〇△◇…」それを超高速英語で(その時の私にとって、お客さんの話す英語は全て超高速でした)言われ、カスタマイズでカップ反面、真っ黒になるぐらいの勢いで注文された時には、脳みそ爆発していました。

お客さんから聞かれている質問も理解できず、困った顔で「Sorry…」と聞き返す日々で、申し訳なさを強く感じていました。そんな私でも誰も怒らず、温かく見守ってくれ「大丈夫!」「問題ないよ!」といつも言い換えてくれるお客さんばかりでした。カナダは移民国家で、スタバでもたくさんの外国人が働いているので、お客さん側もかなりそのあたりを理解して心穏やかに対応してくれるのだと思います。

でも一度だけ、あまりに喋れないことや、とんちんかんな対応をされたことに腹を立てたお客さんがいて「スーパーバイザー(時間帯責任者)出しなさい!」と言われたことがありました。「ここはEnglishの国なんだから、English speakerを雇いなさい」と言っているのを聞いた時には、もう恥ずかしいのと情けないのとで、泣きこそしませんでしたが、いたたまれない気持ちになりました。

ただ、ちょうどその場に居合わせた別のお客さんが「ちょっと。それって失礼じゃないですか?」的なフォローをしてくれて「あんなこと気にしちゃだめよ。」と声を掛けてくれた時には、人の温かさに涙が出そうになりました。

この経験がもっと英語を勉強しよう。というモチベーションにもつながりましたし、いろいろな人がいる中で、辛辣なことを言う人もいれば、それから守ってくれる人もいるということが知れてますますバンクーバーが好きになりました。

日本のスターバックスとカナダのスターバックスの大きな違い

日本のスターバックスとカナダのスターバックスの大きな違い

1、日本の清潔感は世界一

当たり前ですが、日本の飲食店で一番大切なことは清潔感です。どこのお店に行ってもコンディメントが置いてある場所はきれいで、ゴミ箱は溢れてなくて、ドリンクを作る場所は清潔第一。トイレはチェック表があって、清潔が保たれている。従業員が手洗いをしたかどうか事細かにチェックされている。というのがスターバックスに限らずどこの店舗でも見られる光景だと思います。

カナダ、まあ、海外に共通して言えることなのかもしれませんが、そこまでしていません。最初は「うわ。汚い。おなか壊しそう」なんて思うこともありましたが、正直、意外とお腹は壊しません。笑

基本的にカナダのカフェのトイレは防犯上、お店の人から鍵を借りないと入れない仕組みになっていますが、スターバックスに関してはほとんどの場所が鍵なしで入れる公衆トイレ状態になっています。なので、きれい。とはやはり言い難いと思います。

コンディメントバー(砂糖やミルク、パウダー類が置いてある場所)は、いつも何かが散らばっていて、使うのをためらいたくなることも多々あります。単純に使う頻度が日本よりも多いからそうなるのかもしれませんが、日本のスターバックスのように、フロアを定期的にチェックするという習慣はあまり定着していないのか、他のことで忙しすぎてできないのか、店員がフロアにいることは日本に比べると圧倒的に少ないです。

2、とにかくメニュー、レシピが多すぎる

とにかくメニュー、レシピが多すぎる

これは、前にも少し書きましたが、日本と比べるとシロップ、ドリンクの種類が半端なく多いです。そして日本ではカスタマイズする人の方が少ないですが、カナダではむしろカスタマイズしない人の方が少ないぐらいで、一人一人自分のお気に入りドリンクがあります。だからきっと「お前知ってんだろ?」ぐらいのスタンスで超高速で話してくるのだと思います。

特に夏場になると、日本でも定番のフラペチーノだけではなく「ピンクドリンク」と呼ばれるリフレッシャーズが人気です。ストロベリー、ベリー、マンゴーの3種類のジュースにココナッツミルクをブレンドするというカスタマイズで正式名称はピンクドリンクではないのですが、特に若者のお客さんは略して?分かりやすく?「ピンクドリンク」と呼ぶことが多いので、最初の頃は「このお客さん、いったい何飲みたいんだ?」と首をかしげてしまいました。見た目も文字通りピンクですし、味もさっぱりしてて暑い夏にはぴったりのドリンクなので、今の時期は大体みんなピンクです。笑
個人的には、ココナッツミルクとブレンドより、レモネードとブレンドした方がさっぱり感が増しておいしいと思います。

と、今では私もカスタマイズを満喫している種族に仲間入りしましたが、つまり何が言いたいかというと、慣れです。慣れてしまえばお客さんの鬼カスタマイズも聞き取れるようになるし、自分が客側になった時もカスタマイズを楽しめるようになれます。

3、フードメニューも豊富

日本のペストリー(ケーキやクッキーなど)はお値段お高めですが、味はコーヒーとのペアリング(相性)を考えて作られていてとてもおいしいですよね。カナダももちろん、ペアリングを考えて作られていますが、それよりもしっかり空腹を満たす朝食やランチ、スナック感覚で買う人が多いように感じます。サンドイッチのメニューも豊富で腹持ちがいいですし、ケーキはありませんが、クロワッサンやマフィンなど、日本にはないがっつりしたペストリーがたくさんあります。もちろん、値段は日本と同じかそれより高く感じることもありますが、種類豊富で選びやすいというのは利点の一つだと思います。

4、パートナー(店員)が多種多様
当たり前ですが日本と大きく違うのはパートナーの背景、バックグラウンドの多様さです。

国籍はもちろん、LGBTQにはとても理解のある国で、そういった点でもいろいろな人がパートナーとして働いています。

それだけではなく、サービスに関しても日本のようにお客「様」というような感覚はほとんどなく、日本だったら「先頭でホットのトールラテおつくりしています。お待たせしました。ありがとうございます。」とまあ、丁寧に話すわけですが、カナダでは「トールラテ!センキュー!」(その後、カップを叩きつける。笑)とスピード重視なところが大きいので、その点に関しては違うかなと思います。

ただ、これに関してもパートナーの個性が大いに反映するので「あなたのそのピアスとってもすてきね」「今日はこれからどこかにお出かけするの?」など、世間話というか、スタバのポリシーであるお客様とのつながりを大切にするいわゆる模範的なパートナーもいれば、ひたすら無言でオーダーを取りまくるパートナーもいれば、「は?今なんて言った?聞こえない?」ぐらいのニュアンスでガンガン攻め立ててくるパートナーもいます。これに関しては究極ですし、そんなに多くはないですが、確かに愛想のないパートナーもいて、時々驚く場面があります。これは店舗にもよると思いますが、日本のようにトレーニー(新人)に対してトレーナー(指導係)がベタで付いて教え込む。ということは時間的にも人員的にも厳しいので、とりあえずやり方だけ教えたらあとは各々の裁量に任される部分が大いにあります。

トップの人たちもよほどひどい接客でなければ、それぞれのスタイルを尊重してあまり口うるさく(細かく。笑)言ってこないように感じます。当たり前ですが、各々の責任で働け。という風潮がスタバに限らず文化としてあるように感じます。だからこそ面白いですし、だからこそ日本人にはなじみがないかもしれません。

5か月スターバックスで働いた今感じること

5か月スターバックスで働いた今感じること

ありがたいことに、お客さんや同僚との距離が縮まり、今では本当に居心地よく働くことができています。

オーダーもだいぶ聞き取れるようになり、時には世間話なんかもできるようになったのは、最初の頃から比べると大きな成長だと感じています。毎日仕事の中で英語を使っていると、自ずとスピーキング力やリスニング力は伸びているのを実感します。ただ、ここで落とし穴なのが、半年近く働けばもうペラペラ(ペラペラの定義というのが私の中ではよく分かりませんが、いわゆるネイティブスピーカー並みに喋れる体とします)かというと、全くそんなことはありません。基本的にお客さんは注文に必要な英語しか喋らないし、私も接客に必要な英語しか喋りません。となると、決まった文言の英会話はできたとしても、それ以上のアドバンス(例えば友達と話すような内容とか、少し込み入った話題とか)の英会話には苦戦してしまうという現実です。

さらに上のレベルの英語力を目指したいと思うと、スタバの仕事だけではとてもカバーしきれない部分があるわけです。

ここから必要になってくるのは、実際にネイティブスピーカーの友達を作って喋りまくることです。日本と仕事に対する感覚が大きく違うところの一つに、日本だと仕事ありき、仕事をがんばったから休みの日に思い切り楽しむ。という感覚ですが、カナダでの働き方の感覚からすると、自分のプライベートを優先して「まあ、ちょっと仕事もやっとくか。笑」ぐらいな感覚が近いかなと思います。

つまり、仕事や勉強が全てではなく、自分のプライベートをいかに充実させるかということに重きを置いているということです。これは学生だけに限らずいい年した大人でもそうです。なので、仕事の中で英語力を伸ばそうとするよりも、むしろ自分のプライベートの中で英語力を伸ばせるような環境を作り、人脈を作っていくかが今後の英語力の成長に大きくかかわってくると感じています。

話はそれましたが、少しでも何かの参考になれば幸いです。

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Anne
2018年11月よりカナダ・バンクーバーでワーホリ生活をSTART! 準備から現地での生活まで幅広い情報をしっかりとお伝えしていきます。