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子供たちの興味を引き出すドイツの幼稚園イベント

子供たちの興味を引き出すドイツの幼稚園イベント

お勉強!? いえいえ遊びが子供の仕事です!

ドイツの幼稚園…といえば、”シュタイナー”や”モンテッソーリ”教育が有名ですが、そうではない一般の幼稚園でも、子供の自主性を尊重し、のびのび育てる方針のところが多いのが特徴。

3〜6歳児が、年齢別ではなく縦割りのクラスに分かれ、勉強は一切なしで”子供の仕事は遊ぶこと”を地でいくように、工作、音楽、お絵かき、体操など日々のお楽しみがあり、雨の日でも全身雨具に身を包み外で遊んだりも!

また、クラスがなく、自分の好きな時に好きな部屋(絵本の部屋、工作の部屋など)で過ごせる幼稚園があるかと思えば、自主性を重んじすぎて(!?)野放しにしてるだけのところがあったりと、じつに様々。

我が子が通っていた幼稚園は、フットワークが軽く、近所のお散歩はもちろん、消防署や空港見学、かぼちゃ栽培、お泊まり会、クリスマスマーケット散策、なじみのイタリアンでランチをするなど、イベント目白押し。

そんな遊び心満載な我が園で始まったのが、「世界を旅するプロジェクト」。

毎回テーマ国を決めて、その国の首都や人口、面積、生活様式、主食、習慣、言語、子供の遊びなどを約1週間に渡り、先生が園児たちにレクチャーするもの。幼稚園児には難しいかなと思いきや、担当の先生によって様々なアプローチがあるのが面白い。

イランの時はイラン食材店に買い物へ、イギリスの時は先生たちがイギリス王室の様子を劇にして演じ、アフリカの時は、保護者であるアフリカ人ママが幼稚園で伝統料理をふるまい、手で食べる現地のマナーを紹介、トルコの時は、トルコ人ママと一緒にトルコ菓子を焼いたりと、園児だけでなく保護者も参加したくなるような企画づくし。

そんな中、満を持して「日本」がテーマ国に。先生から相談を受け、みんなが関心がある日本といえば、やはり寿司…ということで、恐れ多くも本格和食ダイニング「THE SAKAI」のご協力を仰ぎ、大将・堺さんの寿司ワークショップを開催していただけることになったのです!

初めてづくしの寿司ワークショップ

初めてづくしの寿司ワークショップ

そのお知らせが保護者に配られてからというもの、幼稚園の送迎時、「寿司ワークショップ、素敵ね!」と、何人のママさんに声をかけられたことか。園児たちも「今度寿司マイスターのところに行くんだよー」と、待ち切れない様子。

そしていよいよ迎えた当日。

お店に着くと、がやがやしていた園児たちが、お店の落ち着いた雰囲気、どっしり構える寿司マイスター・堺さんのいでたちに、少し圧倒されている感じ。そのままカウンター席に座り、まずは大将のデモンストレーションから。

寿司ネタの説明に始まり、ご飯はシャリと呼ぶんだよ、握る量はこれくらい、シャリにネタを乗せてこう握る-子供にもわかりやすい説明で、ゆっくりした所作で見せていく大将。園児は、時折トンチンカンな発言をしながらも、きらきらした眼差しで見つめます。

しっかりお手本を見せてもらったところで、お次は自分たちの握る番!

用意されたネタやシャリを前に、ちょっと躊躇する園児たち。

やはり大将と同じように握ることを思うと、子供ながらに緊張してしまうのか?

しかし先生方が先陣を切ると、我も我もという感じで、取り組み始めます。

ドイツの幼稚園児たちの寿司ワークショップ

うわっ、手にシャリがつきまくってる!

ネタをべちゃっと持ちすぎ!

シャリを早くまとめてー!

ツッこみどころ満載だし、何だかおままごとしているようにしか見えないけど、顔つきはいたって真剣そのもの(笑)

そんな園児たちに、大将は嫌な顔ひとつせず、各テーブルを周り、丁寧に教えてくれます。

こんなふうに直々に握り方を指南してもらえるなんて、何たる贅沢。

お店のライトアップも相まって、ちょっと神聖な雰囲気が醸し出される中、一人の男の子が「マイスター!」と大将を呼び、何を言うかと思えば、「マイスターは犬好き?」と変化球な質問。

いやいや、今は寿司の話を聞こうよ!(苦笑) こうしてすぐに静寂は破られ、普段の幼稚園のようにワイワイガヤガヤ。

ドイツの幼稚園児たちが自分で握った寿司がこちら

自分で握った寿司を美味しそうに食べる子もいれば、「食べたくなーい」という子もいて、はたまた寿司そっちのけで、シャリだけモリモリ食べる子も。

初めてのお味噌汁にもチャレンジして、ワークショップは大満足のうちに終了。

最後に園児たちから大将へ、可愛らしいお礼の手紙がプレゼントされました。

僕たちはキンダーマイスターです!

僕たちはキンダーマイスターです!

園児たちは、寿司の成り立ちを知り、自身で握ったことで、”寿司”、ひいては日本がより身近な存在になったようです。

はじめ、この「世界を旅する」プロジェクトについて、園児にはまだ早いのでは?と懸念していましたが、世界各国の知識を身につけさせるというより、いろんな国を知り、興味をもつきっかけになればという先生方の思いに気づきました。

そしてこの企画に同行して驚いたのは、先生方のテキパキ具合。

お店に着いた早々、トイレに行きたいという園児をすぐさまトイレに誘導、寿司を握る前、手を洗う順番待ちではしゃぐ園児たちを次々にさばき、自由気ままに座る園児たちのテーブルに先生が即座に分かれて座り、ケンカを始める子たちを難なくおさめ、帰り際、園児をまとめる先生、お店の人とやりとりする先生、残りの先生は素早くその場を片付ける…これらを示し合せるでもなく、自分の役割を見極め動く、その凄さたるや!

思わず「すばらしいですね」と声をかけると、「大将は寿司マイスターですが、僕たちは”Kindermeister(子供を扱うエキスパートという意味で)”ですから!」と、茶目っ気たっぷりに返答。

このようなプロフェッショナルと毎日体当たりで遊ぶ子供たちは、確かにのびのび育つだろうし、これから社会生活を送る上でしっかりした下地が築かれるのだろうと実感しました。

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OKOSHI RIE
ドイツ生まれの日本人夫にくっついてドイツへ移住したが、何年住んでもドイツ語初級なフリーライター。現地コーディネーターも行う江藤有香子と“Team R fut. Y”を結成し、日々あちこち奔走。リトルプレス『点線面』内の「どきどきドイツ暮らし」などで、生活に密着した現地ネタを届ける。自身が所属する「POMP LAB.」サイト内では、フランクフルトブログも公開中。