当然だけどね、世界一周中に死ぬこともあります
数日前に世界一周中の友人がなくなった。さっきFBで知りました。
アフリカの聞いたことのない土地で、亡くなったらしい。
2015年6月、オーストラリアから日本に帰る途中の一か月間、適当に東南アジアをふらふらとしていた。
その時期にマレーシアのクアラルンプールのバッパーで出会い、四日間くらい一緒に過ごした。
その子とは、その宿についてすぐに出会った。
その夜、僕はペトロナスツインタワーで他の友人と会う約束があったのだが、向こうは女性一人、こちらは男性二人。
相手も気まずいかもしれないし、どうせなら女の子がもう一人いたほうがいいかなと思い、名前も知らないがその子を誘ってみた。
世界一のツインタワーの最上階のおしゃれなバーということで、きれいなドレスなど持ち歩いていない旅人的には行きにくい場所だったと思う。
私サンダルと登山用のブーツしか持っていない!
俺も変な柄のTシャツしかない!
俺はひげが伸び切ってるんだけど!
なんて、三人で騒ぎながらも、追い出されるならみんな一緒だということで、無理やり連れて行った。
まあ、結局無事に入ることが出来て楽しく過ごすことができた。
それから、仲良くなり、二度目の世界一周だというので、どんな国でどんなことをしながらまわってた来たのかなど、旅の話をいろいろと聞かせてもらった。
僕らの泊まっていた宿は、朝になるとエアコンが自動で止まってしまうので、暑苦しくなって嫌でも起きるしかない。大体10時くらいかな。
とりあえず、屋上へ行ってタバコを吸う。
暑いなーと文句を言いながら、エアコンの効いたラウンジへ行くと、その子はいつも他の国の人々と楽しそうに話していた。
本当に世界二周目かよというような拙い英語で、楽しそうに。
ある日、一日だけ僕が早く起きた日があった。
まだ他の宿泊客も起きていない時間だった。
その子はラウンジで本を読んでいて、僕はお腹が空いていた。
毎朝、早く起きて、宿の近くを散歩しているというので、一緒に外に出て朝食を取った。
あれ、だから何だろう。特別なストーリーがあるわけではないけど思い出した。
ああ、そうだ、このストーリーを書くべきだ。
ご飯を食べながら、世界一周なんてして何がわかるのかと聞いたことがあった。
僕は世界一周なんてしたいと思わない。
ネット環境がなければアニメも見れないし、サイトも開けない。
明かりがなければ落ち着いて本も読めない。
暑ければ寝苦しいし、寒ければ布団から出たくない。
英語ならまだしも、知らない言語じゃ本当に伝えたいことなんて伝わってるのかもわからない。
世界一周なんて、世界中で数えきれない数の人々が楽しんでいるイベントで、特別感を感じられない。
中二病の僕ですら、かっこいいと思えない。
それでも、世界一周をする人が多くいる。
なんで?という問いに、これまでの回答の中で一番受け止めやすい回答を与えてくれたのが、その子だった。
「夢だったから」
とても単純で、多くの人が同じような回答をすると思うし、説得力も理論性もない。
だけど、とても素直な気持ちで受け止められたのは、きっと言葉の持つ説得力ではなかった。
真っすぐな笑顔のせいだったと思う。
あの子は、夢の中で亡くなったということになるのか。
毎日たくさんの人が死んでいる。
自殺だけで見ても、日本では年間3万人もの方が亡くなっている。
これまでも多くの友人が亡くなった。
そりゃあ、中には僕の知らない国で、僕の知らない死に方をする人もいるだろう。
僕は年の近い友人が亡くなるたびに、とても不謹慎だけど安心感を覚える。
人は死ぬんだ。
それだけで心が静かになる。
とても悲しい。死んでほしくなかったし、もう一度世界のどこかの道路に座り込んで、どうでもいい話をしながら煙草を吸って知らない街の深夜を過ごしたかった。
でも、もう二度とそんなことは実現しない。
死んでしまったからね。
でも、いいじゃないか。
日本でのんびり過ごしていたって、いつ死ぬかわからない。
君は自分の目で見たいものが明確にあって、すべてを見たわけではないかもしれないけど、多くのものを見たんだ。
何度も空を飛んで、国境を越えて、たくさん歩いて、たくさんお金を使って、たくさん汗をかいて、たくさん感じて、笑って、喜んで、それを自分の中に蓄えていったのだ。
だから、いいじゃないか。
誰かに思い出されたとき、「ああ、夢だったんだもんな」と納得する人がいるなんて、とてつもないことだ。
そして僕は、今夜はぐっすり眠れそうだなんて思ってる。
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