ドイツのハイデルベルクで感じたこと
はじめまして。
2年前にヨーロッパをぐるっと一周してきた、大学4年の女です。
当時訪れた国の中で、私はドイツのハイデルベルクという古都に甚く感動し、その際街づくり、そして、地域活性化についていろいろと考えさせられました。
そのときのお話をここで書きたいと思います。
といってもそんなに堅苦しい話でもないので、リラックスしてお読みください。
まずハイデルベルクのどんなところに感動したかというと、その美しさです。
ハイデルベルクはひろ~い一本の川沿いの森の中にポツンと”佇んでいる”街です。
崩れかけている古城や川にかかる大きな橋などが特徴的な、まさに絵本の中に出てきそうな街で、”佇んでいる”という表現がとてもよく似合います。
どういうことかというと、日本の都市部の様に店の看板やビルの会社名等の“主張”が強くないのです。
街全体が、一個の芸術品と言っても言い過ぎではありません。
道や公園も清潔で騒音もなく、人々は物静かでゆったりと落ち着いています。
私は初めて訪れたその地に「ここで一生暮らしてみたい・・・」とすっかりほれ込みました。
私はドイツに来る前にフランスのパリにも行きましたが、実は結構なショックを受けました。
高貴で洗練されたイメージとは大分かけ離れていたのです。
セーヌ川沿いにはホームレスの掘立小屋がたくさんあり、シャンゼリゼ通りにも乞食がたくさんいました。
夜になると怪しげな人々が偽のブランド物やお土産を売りつけに来ます。
なぜそんな状態になってしまったかというと、実は「高級」な「観光地」として有名すぎると、物売りの目的で各地から貧しい人たちが寄ってきてしまうのです。
そうなれば当然スリなども増え、安全性は低くなります。
たまの旅行にはいいかもしれませんが、腰を据えて暮らすには、神経が疲れるだろうなと思いました。
さて、ここでドイツの話から、日本の話に少し変わります。
私が考える“地域の活性化”とは?
最近の日本では「地域の活性化」がよく叫ばれています。
地方に活気を取り戻し、若者がどんどん出ていくこの現状を変えようという一種のムーブメントのことです。
「活気がある」というと、名産品や観光地を目当てに外から観光客がたくさん来たり、ショッピングモールや商店街が人で賑わって物がたくさん売れているといったイメージが先行しがちです。
しかし、私はこの「地域の活性化」に若干の違和感を覚えます。
なぜなら、人の内面の「活気」や「活性化」は、このような「消費活動」とは違い、目に見えないからです。
人の「幸せ」とは、「物を手に入れる」という行為だけに限りません。
店や物が溢れていれば、便利な施設がそろってさえいれば、人はそこに留まりたいと思うのでしょうか。
私は、本気でそこで暮らしたいと思わせるには、もう一段階上の魅力がないといけないと感じます。
また、街の収入の基盤を、他の地域への輸出や観光客に名産品を買ってもらうことに頼り切っていると、外との交流が絶たれたときやその品に代わるものが登場した際に街ごとつぶれてしまいます。
そうしてゴーストタウンになってしまった地域も、国内外にいくつか存在します。
一つの地域で人々が平和に幸せな生活を送るために必要なのは、「地域活性化」することではなくて、街そのものと、そこに住む個人個人がその地域内でも十分な生活ができるよう、「成熟」することではないでしょうか。
言い換えれば、「足るを知る」ということです。
日本とドイツの街づくりの共通点
では、日本では各地域がそれぞれ「成熟」していた時期は無かったのでしょうか。
私はこの点で、私が見たハイデルベルクと同じように、江戸時代の日本も理想的な手本のひとつになると考えています。
江戸時代の日本は、外国との交易はほんの少ししかありませんでしたが、街は清潔に保たれていて、人々は四季を楽しみ、美的感覚も研ぎ澄まされていました。
当時日本を訪れた西洋人は、日本人がハンカチでなく、ちり紙を使うことや、西洋人からしたらすべて同じに見える「赤」や「青」といった色をいくつもの種類に分けて識別していたことに驚き、「感動」したそうです。
私はこの江戸時代こそ「成熟した日本」であったと思います。
人がある地域や街を「魅力的だ」「素敵だ」と思うとき、決してそこにある”モノ”だけを見ているのではありません。
そこに住む人達の会話のレベル、そこから見える景色、清潔さ、空気、全てを見て、感じているはずです。
できるだけたくさんの客を外から呼び込もうという形ではなく、そこに住む人々自身が幸せに暮らせるようにすることで、自然と外の人を惹きつける。
そういった街づくりが、本当の理想と言えるのではないでしょうか。
ドイツのハイデルベルクという古都に訪れたことで、そんなことをふと考えました。
あなたも機会があれば、ドイツを訪れてみてください。
きっと、何かしら“感じること”があることをお約束します。
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