秋のイベント『聖マルティンの日』
秋は、太陽が滅多に顔を出さないどんよりした天気が続き、冬は、氷点下の気温になり身も凍るドイツ。
そんな気分が沈む季節に、人々の心躍らせるイベントが待っている。
秋といえばハロウィン!と、言いたいところだが、もともとアメリカなどで広まった民間行事なので、ドイツでは古くから根付いていない。
日本同様、新しい風習として行っているところもあるけれど、マストなイベントではないのである。
それよりも重要な意味を持つのは、11月11日、聖マルティンの日。
これは、雪の中凍えていた貧しい人に、自分のマントを2つに切り裂き、その1つを与えた慈悲深い聖人マルティンの記念日。
ランタン(提灯)を持った子供達が、歌を歌いながら街を練り歩いた後、たき火を囲んだりしながら温かい飲み物やヴェックマンという人の形をした、ほのかに甘いパンを味わう。
現在はランタンの中に豆電球を使うけれど、昔はロウソクを入れていたので、ふざけて振り回しすぎてランタンに火が燃え移ってしまうこともよくあったのだとか。
冬のイベント『聖ニコラウスの日』
12月6日は、聖ニコラウスの日。
ニコラウスは、諸説あるが、サンタクロースの起源と言われる人物。
宗教改革でクリスマス文化が25日に移ってしまう前は、ドイツの子供達は本来この日にクリスマスプレゼントをもらっていたのだそう。
現在この日は大きなプレゼントではなく、お菓子などをもらうのが一般的。
私の息子が通っている幼稚園では、上履きの中にチョコレートとみかんを入れておいてくれる(去年までは直に入っていて衛生的にいかがなものかと思っていたが、今年は紙袋入りだったのでひと安心)。
また、ニコラウスはクネヒト・ルプレヒトという怖い見た目の付き人を連れている。
良い子はニコラウスからプレゼントをもらえ、悪い子はクネヒト・ルプレヒトから鞭でお尻を叩かれると言い伝えられているのだ。
それを実演(!?)している家庭もあり、子供はクネヒト・ルプレヒトの怖さにかなり怯えるらしい(笑)。
ドイツのクリスマスの過ごし方
そして、12月25日、クリスマス。
11月下旬頃からドイツ各地でクリスマスマーケットが始まり、グリューヴァイン(ホットワイン)や、ソーセージ、チーズフォンデュ、ポテト、クレープなど美味しそうな匂いを漂わす屋台がズラリと並ぶ。
クリスマスライトや装飾、煙はき人形、あったかい帽子、雑貨など、素朴だけど可愛らしい品々が目を和ませる。
人々が行き交いこの上ない賑わいを見せる街並みに、12月25日はどうなってしまうのかと不安になるが、何のことはない。
クリスマス前には、クリスマスマーケットが終了し(一部年明けまで開催している地域もあり)、当日はほぼ全ての店が閉まり、街はシーンと静まり返る。
かつての日本のお正月のようなもので、クリスマスは出かけずに家で家族とのんびりと過ごすのが、ドイツ王道のクリスマスなのだ。
年が明けて2月頃(毎年ごとに開催時期は異なる)、仮装した人々が歌ったり踊ったりお菓子をばら撒きながら街を練り歩くパレードが行われるファッシング(謝肉祭)もある。
これは冬の最大のお祭りとも言えるので、また別の回で紹介したい。
ドイツの秋冬は夜になるのも早いため、行動時間が狭められてしまい、あまり旅行には適さないかもしれない。
けれど、買い物や観光だけでなく、こういった宗教的な意味合いの強いイベントに触れることで、よりディープなドイツを味わえるのではないだろうか。
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