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人種のるつぼではなく超排他的な国

人種のるつぼではなく超排他的な国

アメリカっていう国はなんて切なくて儚いんだ。

おそらく世界一周が終わったあとにはもっと強くこの気持ちを抱くんだろう。

今回はアメリカという国に感じた印象について。

ニューヨークについてから、行きたい場所や、博物館や資料館、現地の人の話しを聞いてまず思ったのが、アメリカって全然人種のるつぼではなく、白人が精一杯、国の手綱を離さないようにくらいついている。そんな成れの果ての印象でした。

いや、確かに街レベルでは人種のるつぼよろしく、英語以外の言語も頻繁に聞こえてくる。

でも、国レベルのところでは完全に白人市場主義。

どういうことか?

スミソニアンなどの博物館だけではなく、なんかもう目にする者全てにおいて、「本当に見せ方がうまいな」と感じる。

視覚だけじゃなく、聴覚や嗅覚を刺激する展示や、他国との比較。

参加型の展示などは、ぜひ日本の博物館もぜひ見習ってほしい。と。

ちょっと違うかもしれないけど、博物館がアミューズメントパークとして完成されていて、9.11の博物館やホロコースト博物館なんて思わず涙ぐんでしまった。

でもね、素晴らしい展示を見るにつれ、どんどんどんどんお腹いっぱいになり、ワシントンにあるニュージアムで違和感を。

「あぁ、今まで見たもの全て完全にアメリカ視点。いや、博物館ってアングロサクソンの視点で全ての展示がディスプレイされているな」と。

もちろん、アメリカ合衆国内の展示なので、例えばパールハーバーや、原爆、ベトナム戦争や、冷戦をアメリカ視点で書くのは当然理解できる。

でもね、自国内部の歴史も全てがアングロサクソン視点で切り取られているんだよね。

黒人の開放運動のところでは、
キング牧師をはじめとするカラードが、いかに公民権を勝ち取ったか?というテイストよりも、いかにアングロサクソンが、黒人文化を許容していていったか。

黒人なりの努力の軌跡を説明。

ネイティブアメリカン博物館と、アメリカ歴史博物館で違和感が確信に。

ネイティブアメリカン博物館では、アングロサクソンがいかにネイティブアメリカンと条約を結んで和解していったかが1フロアまるまる使って展示されている。

「How many treaties did the United States make with American indian Nations?」から始まるんだよ笑

そもそもtreatyって・・・

日本とイギリスのtreatyのように、多国間でのいざこざの収束時に結ばれるものでしょう。

アメリカの儚さのワケ

アメリカの儚さのワケ

もう、展示全体が、our ancestorではなく、我々アングロサクソン民族と、ネイティブアメリカンとの歴史なんですよ。

奴隷制度から解放された彼ら(黒人)なんですよ。

全然人種のるつぼじゃない。つまり混在していない。

でも、そのアングロサクソンの気持ちも、アメリカ歴史博物館を見ると共感できる。

ニューヨークのメトロポリタン博物館には、世界中の歴史的なものが展示してあったが、アメリカ歴史博物館では、1600年以降しか展示していない。

否、できない。

数々の博物館の根底には、「我々(アングロサクソン)の歴史は1600年くらいからで、そこから他の国に例をみない早さで、帝国を築いてきた。自らも移民であるからこそ、移民を受け入れ成長してきたのだが、複雑化しすぎた社会と、歴史のなさからくる、自分たちのポジション転覆の虞れ」がありありと感じとれる。

アングロサクソンはこんなにすげーんだぜ!!と。

国というのは、その瞬間に生きた人間が、その瞬間のイデオロギーや情熱を積み重ねて、その末にできるものだと思っていたが、建国わずか400年あまりの若い国には、歴史がなさすぎる。

だから、歴史は少しでも鮮明に残しておくために博物館を充実しよう。
振り返る過去がないから「先」を見よう。

本音のところでは歴史のなさを憂いながらそれだからこそ未来にフォーカスできる。だからアメリカは強いんだ!

アメリカに来て感じたのは、世界に冠たる人種のるつぼではなく、その歴史の短さから、「先」を見ることでしか自己を保てない国の儚さと、強さ、そして日本の歴史への感謝が生まれた。

そんな国の印象でした。

もちろん、ニューヨークとワシントンという大都市のさらに一部を切り取っただけなので、一概にカテゴライズはできませんが、それでもなお、国を動かすパワーのメインが、根底ではそう考えている国なんだなーと感じるには十分なほどの排他的な国でした。

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