ワーホリで働いたワイナリーでの仕事内容
ワイナリーで働く、といえば想像するのはブドウ摘みや、そのワイナリーが運営するワインショップで働くのを想像する方も多いかもしれません。
少なくとも私はそうでした。
畑は一面雪に覆われ、ブドウも全くなっておらず、観光客も少ない真冬の時期に、運良くワイナリーでの仕事を得た私がやっていたこと。
それは、ワイナリーの倉庫内で瓶詰めされたワインボトルを箱に詰めたりする、瓶詰めライン (Bottling line)という部署での仕事でした。
いわゆるワイナリー倉庫内でのお仕事。
決して華やかな仕事ではありませんが、ワインがボトルに入れられて出荷準備をするまでの工程や、ワイナリー内部を見ることができるという貴重な仕事。
そして何より必死の思いで手に入れた仕事です。
時給もレストランなどで働くより高く、$15でした。
さらにいいのが、接客などではないため、倉庫内での仕事中にイヤホンで音楽を聴いたりして良かった点です。
最初いいのかな?と戸惑いつつも、みんなが聞いていたので私もiPhoneにダウンロードした洋楽や、TOEICのリスニングPartのYouTubeなどをずっと聞いていました。
倉庫内での仕事はほとんどの時間が単調な作業だったので、この時間のおかげで英語のリスニング力アップの時間にすることもできたのです。
…たぶん(笑)
月から金まで朝8時から夕方3時半まで(間にある休憩時間を含む)働き、残業などは一度もなく、定時できっかり上がる毎日。
休憩時間も毎日同じ時間ぴったりに決まっていて、1日につき1時間半休憩をとることができました。
工場での仕事のようなものだからというのもあるかもしれませんが、オンとオフがしっかりしていて海外らしいなーと思いました。
また、嬉しかったのが毎週一本ずつその日瓶詰めしたワインを無料でくれたこと。
私はお世話になっているシェアハウスのオーナーさんやシェアメイトにおすそ分けしたり、いただいたワインでサングリアを作ったりしました。
ワイナリーの職場メンバー
私が所属していたのはボトリングクルーというグループで、そのメンバーはアルバイトが私を含めて4人、正社員の方が3人の計7人。
私以外は全員男性です。
私達のボスは面白くて陽気なムードメーカー、優しくて仕事もできるという全てが揃った男性でした。
そんなボスとのちょっとした思い出があります。
田舎町ケロウナでは、バスは一時間に1本など。
仕事が終わって帰る時、バスが丁度いい時間にないこともしばしばでした。
でも、時は2月、3月と真冬です。
一時間次のバスを待つくらいなら、歩いて帰ったほうが少し早いので、何度か歩いて帰ったこともあります。
ある日、一人歩いて帰っている途中雪道でクラクションがなり、ビックリして立ち止まると、私の横に車が止まって、中を見ると運転席には職場のボスが座っていました。
「寒いだろう。送って行くから乗りなよ!」
と、家まで送ってくれたことがありました。
ボスはもちろん私だけでなく、バスで通勤していたもう一人の男の子にも同じように送って帰ってあげたりすることもあったようです。
また、仕事仲間には、私に色々と仕事を教えてくれたり、気を遣って話しかけてくれたり、おどけて笑いを誘ってくれるおじさまもいました。
ネイティブの中で英語力の葛藤と経験
そんないいことがたくさんあったワイナリーでの仕事ですが、悩みというかどうしていいかわからずもがいていた部分もありました。
それは、周りがほぼ全員英語ネイティブという初めての環境で、自分の居場所があまりないという状況に陥ったことです。
7人の中で、ギリシャ人の人もいましたが、カナダに住んでいるのも長く、英語もペラペラ。
他の5人はカナダ人ともう1人はオーストラリア人。
今まで語学学校やインターンシップ、シェアハウスには必ず日本人がいて、トロントで出会ったカナディアンは日本語が分かる人や好きな人、バイト先では日本人のcoworkerやお客様はいないものの、中国人、イラン人、ロシア人などいわゆる英語のネイティブではない人たちがcoworkerでした。
ケロウナの職場ワイナリーでは、ネイティブの中に1人ポツンとアジア人が混じっている状態。
休み時間などは、語学学校などで聞いていた英語とは圧倒的に違う速さで英語が飛び交っていました。
その時、カナダに来て半年以上が過ぎており、自分は英語を少しでもわかっているつもりでいたけれど、その小さな自信はもろくも崩れ去りました…。
また、そんな中にいるので、英語を間違えたら恥ずかしいとかいう考えが出てきたり、見当違いの答えをしていたらどうしようとか、変なプライドも邪魔をしてきます。
そこで、カナダに住んでいる日本人の方や、日本に住んでいるキャリアカウンセラーの方に相談。
1.逆に日本人が6人いて日本語を話している中に1人外国人がいたら、理解したり間に入るのは難しいだろうと意識を変えてみる。
2.思い切って、「わからないからもっとゆっくり話してくれませんか?」って言ってみる。
3.特にみんなが盛り上がっているときにわからない、って言うのも勇気がいる。そんなときは隣の人に「今何の話してるの?」とか、「この単語の意味何?」ってきいてみる。
4.ひとりでも、優しそうな人や年齢が近い人をつかまえて話してみる。
5.自分から話題を振る。
上記のようなアドバイスをいただき、気づいたこと。
それは、この時の私はわからなかったらゆっくり言ってもらうという単純な発想さえなくなっていたということでした。
「ネイティブの会話についていけず、っていうのは多くの人が経験することだし、それも経験だと思ってあまり悩みすぎないようにね。きっといつかわかる日がくるからね~。」
というカナダに住む日本人の方の言葉に、私だけじゃないんだなと少しほっとしたのを覚えています。
また、ほかの打開策として、なんとかみんなと打ち解けたいと、お菓子を作り、職場へ持って行ったりもしました。
最初は無難にカップケーキを焼いて持って行き、みんなにおすそ分け。
ありがとうとみんなが受け取ってくれましたが、その数日後、そこで働くカナディアン男性が作ってきてくれたマフィンがものすごく上手なこと(笑)
アメリカやカナダで売られているようなあま~くてふっくらしたマフィン。
味も見た目も完敗でした(笑)
ただ、本場?マフィンで負けるならば、カナダでは見ないもので勝負だと、めげずに私は生チョコを作って持って行きました(笑)
なんの勝負なんだっていう感じですが…。
すると、それが大好評!
「日本では人気のスイーツなんですよ!」
というと、
「なんていう名前なの?」
と興味津々でした。
短いそのやり取りでさえも、話に入れなかった私にとってはものすごく嬉しいことでした。
そんなこんなで、悩むのはもうやめて、自分のできることをやっていくしかないし、話せず黙っている私を周りは関わりずらいな~と思っているんじゃないかなんてネガティブに考えていましたが、きっと周りは自分が思っているほど私のことを気にしていないものだろうと考えるようにしました。
ネイティブじゃないんだから、わからなかったり話せないのは当たり前だと開き直ったりなんかして、なんとか契約期間まで働ききることができました。
最後まで、ネイティブの人たちの輪や会話の中に自然に入ることはできなかったけれど、何より、職場の人達は本当に優しくて、英語力など関係なく接してくれる、それが私の救いでした。
日本に帰ってきたあと、仕事に就いた私は、ネイティブの人達が職場にいる環境を選びました。
それがこのカナダでの経験も活かせていると、信じたいです。
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