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フランス名物 王様のパイ菓子

フランス名物 王様のパイ菓子

新年が明けると、フランス中のパン屋さんに並び始める名物お菓子があります。

それはガレット・デ・ロワ。

ガレットはパイ生地の丸いお菓子、ロワはフランス語で王様。

ガレット・デ・ロワとはすなわち「王様のパイ菓子」というフランスの伝統的なケーキです。

サクサクのパイ生地の中にはドシっとしたアーモンドクリームが入っており、口に入れた瞬間それらが合わさって、絶妙な美味しさを生み出します。

フランスでは主にパン屋で購入することが出来ますが、スーパーなどにも置いてあり、特設コーナーが設けられるほどの人気ぶり。

学校給食のデザートとして登場するなど、1月になると生活のあらゆる場面で出会うこの名物お菓子。

これを食べなくては、新しい年に入ったとは言えません。

また、ガレット・デ・ロワの人気の秘密は、何と言ってもお菓子の中に隠されたフェーヴと呼ばれる陶器で出来た小さい人形。

通常ホールケーキの中に一つ入っていて、切り分けて食べるときそれがあたると、その人は一日王様、王妃様です。

紙でできた冠をかぶり、その日だけ周りに命令ができます。

市販のガレットには、既にフェーブが入っているものが多く、冠がセットになって売られているので、家族や友人とパーティのように楽しめます。

フェーブは人形以外にも動物や植物、有名な建物など、実に種類はさまざまです。

最近では世界中にコレクターがいるのだとか。

食べて美味しい、集めて嬉しい、さらに盛り上がって楽しいフランスのガレット・デ・ロワ。

その起源はいったいどこにあるのでしょうか。

ガレット・デ・ロワの起源・歴史・味

ガレット・デ・ロワの起源・歴史・味

ガレット・デ・ロワがフランスで広まり始めたのは、13、14世紀のこと。

当時キリスト教社会だった中世のフランスにおいて、ガレット・デ・ロワはエピファニー(公現祭)と繋がっていました。

それが現在まで続いているわけですが、公現祭とはイエス・キリストがベツレヘムで誕生したことを聞きつけたバルタザール、メルシール、ガスパールという三人の王様(博士とも言われている)が東方からそれぞれお祝いの宝物をもって駆け付けたことに由来するお祭りです。

教会歴では本来1月6日にお祝いされます。

もし6日が日曜日でない場合、その日以降の最初の日曜日になることが多いようです。

しかし、ガレット・デ・ロワの起源は、実はキリストが生まれるずっと前の古代ローマ時代の「サトゥルヌスのお祭り」という冬至のお祭りにあると言われています。

冬至を境にだんだん日が伸びていくことから、太陽や大地の復活を象徴していました。

そこから豊作をお祈りするお祭りへと発展したのですが、奴隷の中から一人だけ一日王様になることを許され、その日だけ身分を捨てて、自由に振る舞うことができるという習慣も生まれました。

その選出方法として考え出されたのが、今あるガレット・デ・ロワ方式、つまり切り分けたお菓子の中にフェーヴ(当時は陶器で出来たものの代わりに豆)が入っていた人が王様になるという方法です。

古い歴史を持つガレット・デ・ロワ。

フランスでもっとも一般的なのが、フランジパンと呼ばれるアーモンド入りカスタードクリームが入っているもの。

そのほか、ヌテラ味や、チョコレート味、ピスタチオ味、フランボワーズ味、塩キャラメル味など、様々な味があります。

またガレット・デ・ロワというと、パイ生地のものを思い浮かびますが、南フランスではドーナツの形をした大きなブリオッシュを指すそうです。

ほんのりオレンジ味がするパンはアイシングやドライフルーツで装飾され、見た目も華やか!

フランス広しといえど、北と南でガレット・デ・ロワがこれまで違うとは驚きです。

手作りレシピ

手作りレシピ

そして、フランスに来て5年目、そのガレット・デ・ロワを初めて手作りしてみました!

材料(二人分):
円形のパイシート 2つ
バター 80グラム
粉砂糖 80グラム
アーモンド粉 80グラム
卵 2個
バニラ風味の砂糖 1袋(小さいサイズ)
卵黄(照りをつけるため)
(フェーブ 1個)

手順:
①材料をすべて混ぜて、フォークで数か所穴を開けておいた一枚目のパイシートにそれを敷き、フェーブを置き入れます。

②その上に二枚目のパイシートを載せて、淵をフォークで閉じます。

③ナイフで模様を描いたら卵黄を薄く塗り、オーブンで25分くらい焼けば完成です。

このようにとても簡単なはずなのですが…実際に作ってみると意外に難しいことが判明しました。

改めてお店で並んでいるガレットを見てみると、そのなんと美しいこと!

味は何とか市販のものに近づけたものの、見た目がやはり全然違います。

やっぱり一回作っただけではまだまだ追いつきません。

アーモンドの粉が余っているので、また手作りにチャレンジしてみようと思います。

ちなみにこのアーモンド粉、普段は難なく見つけることができるのですが、今回1件目のスーパーでは完売、2件目でようやく買うことができました。

今まで出来合いのものを買っていたので気が付かなかったのですが、手作りする人って案外多いんだな、としみじみ思いました。

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HATTORI AYUMI
大好きな美術史の勉強をするため2010年に渡仏。現在パリ第4大学で19世紀後半から20世紀前半における大衆版画の研究をしています。慣れてきたようでなかなか慣れないフランス生活。アート以外にも、食やイベント、時事問題など興味の範囲を広げて記事を書いていけたらいいな、と思っています。